肩は体の様々な関節の中でもかなり自由度の高いところで、360°いろいろな方向に動かすことができます。
これは肩甲骨のつくる関節のおかげですが、自由に動かせるようにするために複雑な構造をしていて、そのどこに障害が出ても違和感を感じるようになります。
この記事では右肩甲骨の痛みが出現したときに考えられる原因と、その対処法を紹介します。
目次
肩関節の構造はどうなっているの?
肩関節は肩甲骨と二の腕の骨である上腕骨からなっていて、この関節には4つの筋肉がついています。
・肩甲骨の全面についている肩甲下筋
・肩甲骨の出っ張りの上についている棘上筋
・出っ張りの下についている棘下筋
・肩甲骨と上腕骨をつなぐ小円筋
これらの4つで、一つの関節にこれだけ多くの筋肉がついていることで肩の関節はとても自由に動くことができます。
逆にこれらの筋肉のどれか一つにでも障害がでると肩の動きはどこかに制限がかかるようになります。
肩があがらなくなって痛い!一体何のせい?
肩があがらなくなって肩甲骨のあたりに痛みを感じるとき、いくつかの病気が考えられます。
よく起こるのが肩関節の筋肉の一つである棘上筋の腱がダメージを受けて起こる腱板断裂というケガです。
この棘上筋は骨と骨の隙間の狭いところを通るため、強い力がかかったり、酷使したりすることにより傷ついてしまいます。
そのため野球の投手など肩を酷使するスポーツをしている方にはよく起こります。
また、年を取るにつれて腱がもろくなってしまうので、60代以上の肩にもよく起こるケガでもあります。
腱板断裂は力がかかったときに起こるものなので日常的に良く使う利き手側に起こることが多いものです。
症状としては、完全に肩があがらないということは少なく、痛みをこらえながらや痛み止めをとった後であればしっかりと肩があがることが大半です。
しかし、腱が完全に断裂している重症のケースでは肩が完全にあがらなくなってしまいます。
治療としては、腱が完全に切れていない場合は、リハビリを行いつつ痛み止めを使い炎症を抑えることで2〜4週間ほどで治癒します。
しかし、腱が完全に断裂している場合は手術を受ける必要があります。
重苦しい痛みが続き手にもしびれが出る?この場合は?
しびれや痛みが肩甲骨ばかりでなく、同じ側の腕などにも広がってきた場合には肩甲骨の筋肉の問題ではなく、「頚部脊柱管狭窄症」や「神経根圧迫」などの神経の問題の可能性もあります。
筋肉を思い通りに動かすためには脳からの命令が必要です。
脳から体の各部位に命令を伝えるのには脊髄が通り道として使われます。
脊髄は脊椎という骨に囲まれた脊柱管という隙間を通ることで守られていますが、脊椎と脊椎の間から太い神経として外に出てきて、これがさらに枝分かれして体中に神経を張り巡らせていきます。
肩の筋肉の神経は首の脊椎である頚骨の5番目や6番目の隙間から出てくる神経で命令が伝えられています。
これらの神経は肩だけでなく、腕の筋肉にも命令を伝えているのでこの神経が障害されると肩だけでなく腕にも症状が出てきます。
それでは「頚部脊柱管狭窄症」や「神経根圧迫」の特徴や治療法を見ていきましょう。
頚部脊柱管狭窄症について
頚部脊柱管狭窄症は、脊椎の通り道である脊柱管が生まれつき狭かったり、背骨が曲がることで配列が少し乱れることが原因で脊柱管が狭くなり、脊椎が圧迫されてしまいます。
この圧迫により肩に痛みやしびれが起こり、場合によってはさらに足などにも症状がでることがあります。
症状は進行していくことがあるので整形外科を受診するようにしましょう。
検査としては、MRIなどの画像をとったり、神経の反射を調べたり筋力を調べたりします。
治療には手術を行い脊柱管の狭くなった部位を広げることが根本的な治療になります。
しかし、病気がまだ進行していない段階であれば神経障害を修復する作用のあるビタミンB12を内服したり、消炎鎮痛剤を内服したり、痛みのある部位に定期的に神経ブロックを行うことで痛みやしびれをコントロールすることができます。
どの治療法が効果があるかはお医者さんの判断を仰ぎましょう。
神経根圧迫について
神経根圧迫の場合には様々な原因があり、筋肉が大きくなりすぎたために神経を圧迫するようになったり、骨によって神経が圧迫されたり、脊椎と脊椎の間を神経が出る通り道が狭くなりすぎて神経を圧迫したりといったことが考えられます。
これのなかでは、脊椎と脊椎の間が狭くなりすぎることが原因として最も多いようです。
原因が何であるかはMRIによって探したり、神経の反射を見ることで探します。
治療としては、原因によっては手術が勧められたりしますが、ステロイドや消炎鎮痛剤などの炎症を抑える薬を内服したり、神経ブロックを行うことで症状の改善をはかります。
これ以外にも、ストレッチやリハビリによって筋肉のバランスを整えたり、場合によっては枕を変えたりなど意外なことで改善することもあるそうなので、実績のあるお医者さんにしっかり相談しましょう。
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