耳は音を聞くための大切な器官で、耳の聞こえが悪いと音が聞こえなくてイライラする以外にも頭痛、めまいなど様々な異常の原因にもなります。
耳のトラブルで特に多いのが耳の中が水っぽくて不快感があるものです。
「耳だれ」と呼ばれることもありますが、これはどうして起こるのでしょうか。
今回はそんな耳が水っぽい原因と病気の可能性はどんなものがあるか、また、対処法などを紹介していきます。
耳の中が水っぽいのは体質のせい?
耳垢は乾性耳垢という乾いた耳垢と、湿性耳垢という湿った耳垢の二つに分類されます。
耳垢は耳道から出たアカに、耳の中にあるアポクリン腺から出てくる液が混ざってできます。
そのため、このアポクリン腺が耳の中にたくさんある方は耳垢が水っぽくなり湿性耳垢が出てきます。
日本人のなかには乾性耳垢の方が圧倒的に多いため、湿性耳垢の想像がなかなかつきにくいかもしれませんが、粘土状のものから人によっては耳からダラダラと耳垢が垂れ流れてくるほどの場合もあるようです。
体質のせいかどうかの判断の中で、一番簡単なものは遺伝を考えることです。
耳垢が乾性か湿性かというのは遺伝によって決まっており、両親が乾性耳垢である場合には子供は絶対に乾性耳垢になります。
両親が湿性耳垢である場合には、子供は乾性耳垢になる場合と湿性耳垢の両方になる可能性があります。
ですので、耳が水っぽい時、両親の耳垢について聞いてみて両親ともに乾性耳垢である場合には、その耳の水っぽさは体質のせいではなく何かしらの原因があることになります。
他にも、湿性耳垢の方は体臭が強くなりがちだったり汗をかきやすい体質だったりします。
病気で耳が水っぽくなるのはどんなものがある?
病気で耳が水っぽくなるものは アレルギーなどのかぶれによるもの、細菌などの感染によるものがあります。
それぞれ二つの症状を詳しく紹介します。
アレルギーの場合
耳の中にアレルギーが原因でかぶれができたときに、違和感やかゆみから耳かきをしてしまうことで悪化し、かぶれから滲出液がどんどん出てきてしまいます。
治療法としては引っ掻いたり耳かきをしたりせずに放っておき様子を見ることでも軽度であれば治りますが、耳鼻科や皮膚科で薬を処方してもらうとより早く治ります。
細菌感染の場合
細菌が感染することで膿が出てくることが耳だれの原因です。
一般に中耳炎と呼ばれますが様々な分類があり、そのどれもが治療されずに放置していると難聴の原因になるのでしっかり病院にかかることが大事になります。
そして放置や程度の違いによって様々な耳の病気を引き起こします。
それでは病気別に見ていきましょう。
急性中耳炎
もっとも多いのが「急性中耳炎」と呼ばれる中耳炎です。
これはその名前の通り細菌やウイルスに感染した結果、中耳に炎症が起こることで中耳の中に膿がたまってしまいます。
このとき、最初のうちは耳が塞がった感じや聞こえにくさという症状が出てくるのですが、中耳が膿で満たされてパンパンに膨れてくると鼓膜を強く押すため強い痛みに襲われます。
このときには発熱も伴うことが多くあります。
このような症状が出てきたときには耳鼻科にかかるようにしましょう。
耳鼻科では鼓膜に穴を開けて膿を出すとともに抗生物質で細菌をなくすることで中耳炎を治療してくれます。
慢性中耳炎
この治療が不十分だと中耳炎が長引き「慢性中耳炎」になってしまうことがあります。
また、急性中耳炎をそのまま放置しておくと、膿によって鼓膜が強い力で押されることでそのうち鼓膜が破れてしまうことがあります。
そうすると鼓膜を押す力が弱まるためそれまでの痛みがなくなりかなり症状が軽くなるため、そのまま放置してしまう方もまれにいるようですがこれも慢性中耳炎の原因になります。
慢性中耳炎では耳だれが頻繁に起こるのに加えて、鼓膜が破れてしまっているために難聴になることも多くあります。
それだけならまだしも、中耳炎による炎症が耳の中の振動を伝える骨や神経にも障害を引き起こし難治性の難聴を引き起こしたり、めまい、耳鳴り、顔の神経の麻痺などの原因にもなります。
治療としては手術により感染の原因となっている部位を掃除することが必要になります。
真珠腫性中耳炎
慢性中耳炎を放置して繰り返しているうちに「真珠腫性中耳炎」という中耳炎になることがあります。
これは鼓膜や耳の上皮の一部が真珠のように丸く増殖してしまったもので、真珠腫という名前ですが癌ではありません。
この真珠腫は丸くなったままゆっくりと増殖していき周りの組織に炎症を起こしたり物理的に破壊していきます。
そのため難聴、めまい、顔面神経麻痺、顔の骨の破壊なども起こしていきます。
また、耳ダレも見られるのですが、膿のような耳ダレだけではなく、血も混じった耳ダレも出てくるのもこの病気が他の中耳炎と違うところです。
治療法としては手術により真珠腫を取り除き、中耳を再建する鼓室形成術という手術を行います。
この病気はかなりしつこいようで、なかには何度も手術を受けてやっと治ったという方もいるので真珠腫になる前に早めに耳鼻科にかかるようにしましょう。
また、難聴は進行してしまったら完全に治すことは難しくなるのでやはり早めに受診するのが肝心です。
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